"Slow Burn" セルフライナーノート
まずは、YOMOYAが再結成してからの時を共にしてくれたメンバーたちにお礼を言いたい。前作”Akt”以降、メンバー脱退があり、制作やライブ活動が進みにくい中でも、お互いに寄り添ってくれた事。歩みが遅く出不精な自分のペースにつきあってくれた事にも感謝したい。またこうして新しい曲をリリース出来た事にも。
曲と詞にして伝えたかったことは、歳をとると共に擦り減り、芯を細くしつつも首の皮一枚をつなぎながらくすぶっていた。それを言葉にする力と伝え方が自分の中で育っていなかった。年月を経て少しはマシな人間になり自然と話し方を得たような感覚がある。成長したと言うには遅すぎるが、大きな変化は自分の中にあった。新しい曲では、写真からストーリーを紡いだり、シンプルに体の発現のことを詞にしたり、夢想するように出てきたワードを羅列したりと試行錯誤した。
“Slow Burn” という英単語は、人に揶揄されたりバカにされたりした事を、後になってからムカついてくるという慣用句。要するにヘタレの歌。ただヘタレではあってもその感情を反故にせず、向き合って何かに変えて欲しい。一番守らなければならないのは自分の心だから。それがなければ自分はおろか人も守れない。
オリジナルメンバーが山本一人になったが、作曲は昔と変わらず同じやり方でやっている。どうも時間はかかるが、一番楽しいやり方だと思う。各々がメロディやフレーズを何度も練り直しアレンジ、それがレイヤーのように幾重にも織り成して曲になる。その過程を楽しみ、デザインするのがこのバンドの得意技だ。新メンバーと共にYOMOYAの作曲をするのにも時間をかけた。時間がかかったというよりは、焦らずゆっくりと時間をかけた。
そうして出来たものの中で一番の曲が”Slow Burn”だ。パワフルでもない。元気も出ない。リフレッシュもしないかもしれない。あとは泣けたりもしないし、癒やされもしない曲で、出来るのはチルくらいなもんだけど、自信作だし、気に入ってるので皆さんにもぜひ聴いてみて欲しい。
YOMOYA 山本たつき